【明治喧嘩屋恋模様】
  〈 恨めし饅頭編 〉
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 蒼天にかかる雲も霞がかって、まことに春とはこうあるべきと思わせる陽射しの中、ひらりしゃらりと浮き足立って 男が一人歩いていた。
「惚れて通えば千里も一里 逢わで帰ればまた千里。」
 調子っぱずれな都々逸を口ずさみ、 道ばたに咲く菜の花を時折摘んでは 振り回して節を取る。
 悪一文字などと 物騒な文字を背中にしょっているわりには 陰惨な陰はなく、行き交う人々からは 陽気に浮かれた与太者と 微苦笑を誘っている。
 顔見知りのからかう水茶屋の女達の間を ひょこひょこと抜けて 相楽左之助の足は神谷道場へと向かっていた。

 想い人との仲は進展もなく、左之助の片思いである状況に 変わりはない。
 この状況を何とか一気に打破しようと あれやこれやと考えあぐね、押してもダメなら引いてみなとばかりに ここ数日は剣心の元へと足を運ばずにいた。
 顔を見たい気持ちはあれど、ここが我慢のしどころと 破れた障子の穴と畳の目数を数えながら 破落戸長屋でもんもんとのたうち回っていたが それも我慢の限界で とうとう昼には長屋を飛び出していた。
 4日も顔を見せずにいたのだから 今日辺りは歓迎されてもいいはずだ。
 そんな思いに 知らずと頬も緩み、刻む歩調は軽やかだった。

 いつものように裏の潜り戸を抜け、まずは剣心が居てそうだと思しき中庭を目指す。
 とっくに干された洗濯物が、高く上がった陽に照らされて、白く輝いているのが 目に眩しい。大小取り混ぜられた木綿の襦袢が 風にたなびき揺れているのも 久しぶりに逢う剣心の顔を想像すれば 心なしか楽しく思える風景だ。
 が、肝心の目指す想い人の姿はなく、いつもならどこかから聞こえるはずの弥彦と薫の声も 耳に届かない。

 嬢ちゃん達は 出稽古か?

 そう悟ると 左之助の頬は更に緩む。
 薫達が戻るまでの数時間は 剣心と二人きりで 邪魔者は居ない。
 上手く行けば 今日こそ、想いを告げる事が出来るかもしれない。いや、そればかりか、いい雰囲気にならないとも限らないのだ。
 今日まで何かにつけては それとなく自分の気持ちを顕してきたつもりだ。
 男同士だからスベった時の最悪の場合も考えて、 相手が女の場合のように露骨には言わないが、それとなく臭わせた気持ちは そろそろ剣心にも伝わっているはずだ、と思う。それが証拠に 剣心はいつもはにかんで微笑み、時には流し目まで呉れる・・・・ような気がする。
 ここまで来れば 地道に積み上げた努力が そろそろ開花しても良いはずだ。
 それに剣心も 毎日顔を見ていた自分が 4日も顔を見せなかったのだから きっと寂しいと思っていたに違いない。
 そうまことに都合の良いように考えると 左之助の鼻の下はだらしなく緩んでしまう。
 ついで見当をつけ、覗いた厨には剣心の姿はない。ならばと、剣心の自室である離れへと向かっていった。

 部屋は 障子が開け放たれている。開いた障子が誘い込むように うららかな陽射しが部屋の中にまで溢れ、その奥に赤毛が散っているのが見える。
 剣心は 畳に身体を横たえて うたた寝をしているようだった。
 いつもなら柱に身体をもたせかけて ちょっと眠っているぐらいなのだが、横になっているとは珍しい。これは鼻でも摘んで起こしてやろうと 左之助は悪戯気を起こして ほくそ笑む。そして、注意深く、抜き足差し足と近づいた。
 何と言っても幕末最強の男は ちょっとした気配や殺気を察するし、眠っていても油断はならない。こういう場合は 無心になるに限ると 左之助は自分の考えた悪戯に 思わず声を漏らしそうになるのに耐え、亀ほどの歩みで そろりそろりと近づいていった。
 縁側からそうっと上がり、剣心へとにじり寄る。そして、鼻を摘むべく そうっと手を上げ、息を殺して覗き込んだ。
 剣心に気づいた様子はなく、スヤスヤと軽い寝息を立てている。
 ふわりと浮かんだ赤毛を 春の風がひとつふたつ靡かせていたりして、陽気に包まれて眠る姿は なんとも心地良さげで、微笑を誘う。
 いや、まったくその寝顔の愛らしいこと。
 長い睫はほどよい陰影を作っているし、白い頬にはうっすらと朱がさして色気を呈し、つぐんだ口唇は ほんわりと肉が乗り、金平糖よりも甘そうだ。
 これが幕末最強の男とは 誰が見たって想像もつかない。一体全体鬼神のようなあの強さは どこから繰り出されるのか まったくもって別人のようだ。
 左之助は当初の目的も忘れて ただ剣心の寝顔に見惚れていた。
 規則正しく繰り返される呼吸の度に 薄い喉が上下して、黄金色に輝く後れ毛が揺れる。それが鎖骨の下へと続いて行き、緩く着付けられた胸元からは 覗き込めば胸の華さえも見えそうだ。

 ああ、ダメだ。俺、鼻血を吹きそうだぜ。

 耐えに耐え、堪えた欲求不満が黒いとぐろを巻き、暗雲立ちこめ、左之助の脳天へと広がった。

 しなやかに伸びる肢体、すんなりとした足が袴の裾から零れ、 素足の指の先についている爪までも 桜色して左之助を誘っているようではないか・・・と、煩悩の塊が囁き続ける。
 今や左之助は 絶好の餌がありながら、1時間ほどお預けを食らっている犬のような心境だった。
 と、突然、剣心の口唇が動いた。
「ん・・・左之・・・・」
 その瞬間、左之助は自分の欲望を見透かされたのではないかと 飛び上がらんばかりに驚き、慌てた。が、剣心は 依然としてスヤスヤと寝息を立てている。 
 どうやら寝言だったようだ。
 そう気づくと ニタリと左之助の頬に笑いが広がった。

 寝言で俺の名前を呼んでいやがるぜ。ってぇことは・・・・うへへへへ・・・
 普段はすましたツラしていやがるが 本音は俺が気に掛かるってか?

 そう思うと 嬉しくて堪らない。
 ニタリニタリと笑みを浮かべて もう一度剣心の顔を覗き込んだ。

「あっ、左之、そのような・・・・」

 するとまた、寝言が零れてきた。

「そのようなぁ!??」
 オ、オイッ、そのようなって どのようなんだ???

 左之助の胸はにわかにときめき、想像は自ずと自分の都合の良いように広がってゆく。

「んん・・・あっ、ああ・・・やめ・・・・・」

 オイ、オイ、オイ、オイッッ!!
 いったいどんな夢見てんだってんだ?

「あ・・あふっ・・・・」

 へっ? 「あふっ?」・・・??
 なんか、さっきから やたらと色っぺぇ声を出しやがる。こいつぁどう聞いても あの時の声だよな?
 うへっ、うへへへへ・・・・いやぁ、たまげたぜ。
 まだお互い、想いも言い交わしてねぇってぇのに  一足飛びにそんな夢を見てるとはねぇ・・・・
 うひひひひ・・・・・剣心も隅におけねぇ。こいつぁ、男冥利に尽きるってもんだ。
 なかなかどうして、剣心も俺に気があったってぇてか。 俺ぁ、すっかりテメェの片思いだとばかり思って焦ってたけどよぉ。
 てへへへ・・・・なんだ、そうだったのか・・・・
 げへへへ・・・そうか、そうか、そういうことだったんだな。
 ぐへへへへ・・・・・

 もう左之助は 天にも昇る心地だった。
 神様、仏様、お釈迦様、弁財天に大黒天、天神様に東照大権現、ついでに稲荷明神に天照大神、道祖神にお地蔵様と 暇が出来たらきっと念仏を唱えるからと 知る限りの神に感謝した。
 十と九年。
 今まで生きてきた中で こんな最良の日が かつてあっただろうか!
 想いに想い、夢に描いた出来事が 今、現実となって・・・・いや、剣心の夢の中でひと足先に思いを遂げているのだ。これが万歳と言わなくて 何であろう!!
 そう思うと 左之助の鼻の下は 履き古した褌の紐よりもだらしなく 畳に着かんばかりに伸びきった。
 剣心は依然、夢を見ているようで 小さな吐息が絶え間なく、その可愛らしい口唇から零れ続けている。
 そのうちに軽く広げていた腕が動き、爪を立てた指先が畳の中に食い込んで カリカリカリと小さな音を立てだした。足はわなわなと震え、力の入った指先が 畳の上でつま先立ちになる。そして、肩を上下させてハァハァと 浅い息を繰り返す。頬は紅潮して 苦痛に耐えるような表情だ。

 うほぉーーーぃ。
 たまんねぇぜ、これは・・・
 よしよし、起きたら俺が 今度こそ本当の極楽へ連れて行ってやっからな。
 うひひひひ・・・・楽しみにしてろよ。
 んじゃぁ、早速、恋人らしく口唇でも啄んで 起こしてやっかな。
 極楽へ一名様ご案内、とくらぁ。

 満面の笑みを浮かべて左之助は 剣心の口唇を奪うべく、頭の横に手を着いた。そして、真正面から覗き込み、あわや、口唇を落とそうとしたその瞬間、剣心がパチリと目を見開いた。
「あ、あわわ。左之!!」
 言いざまにクルリと身体を反転させて 左之助の腕の中から逃れ去った。そしてすぐさま起きあがるやいなや、
「すまぬ。」
と ひと言、頭を下げた。
 片手は畳に附き、もう片方の手はしきりと喉の辺りをさすっている。息は荒く、頬は紅潮し、視線は畳に落としたままだ。
 左之助は左之助で 驚いたのなんのって。
 相手が眠っていると思えばこそ、大胆な行動にも出ようとしたのだが、いましも本懐を遂げるときになって目を覚まされては そのバツの悪いことこの上ない。
「な、なんだ!? んなに驚くことはねぇだろ・・・」
 照れ隠しに顔を背けて ぶっきらぼうに言った。
「す、すまぬ・・・・」
 剣心がもう一度謝った。見れば悄然として肩を落とし、喉の辺りをしきりとさすっている。
 左之助は 剣心がいたく恥じているのだろうと思った。

 そりゃそうだろう。
 あんな夢を見てたんだからな。
 寝言まですっかり俺に聞かれちまって。
 うひ、うひっ、うひひひ・・・・
 まさか、目を開けりゃ、本物が顔を覗き込んでるなんてぇ お釈迦様でも想像つくめぇ。
 無理ねぇ、無理ねぇ。嬉し恥ずかし夢の中、てなもんじゃねぇか。

「あ、いや、怒ってるんじゃねぇよ。ちょっと、驚いただけで・・・お前の顔を覗き込んでた俺も悪かったしな・・・でも、お前があんまり気持ちよさそうに寝てるもんだから つい、どんな夢を見てるのかなーって 想像しちまって・・・でへっ・・」

 どんな夢と自分で言った途端に 目尻がやに下がる。だが、それ以上に笑いを漏らすまいと、続きは胸の中に仕舞い込んだ。
 左之助も だてに剣心を今日まで観察してきたわけではない。
 剣は滅法強いくせに 色事となると まったくいただけない。初で恥ずかしがり屋の剣心に すべてお見通しなどと悟らせると 貝のように口を噤んでしまうに相違ない。そうなっては元も子もないではないか。
 待ちに待って、やっと巡ってきたこの好機だ。
 今日を境に 鬱々とした暗い青春とはおさらばして 華満開の春を謳歌したい。
 そのためにも「今」を逃してはならないのだ。

 夢の中じゃぁ、すでに額面通りの差しつ差されついい仲になってるが、まぁ、現実は順序を踏んでだな。お互い、想いを打ち明けるところから始めねぇとな。それが世間ってぇもンだ。
 あんな夢を見た後だ。胸の内も言いやすいんじゃねぇか。
 うん、ここはひとつ、剣心から告白させようじゃねぇか。
 つったって、コイツのことだ。おいそれとはいかねぇだろうけど そこはそれ、俺が呼び水を差し向けてやってだな、
「左之、実は・・・」
 とくりゃぁ、俺も
「男同士つったって、なんも恥じることはねぇんだぜ。俺も今日までお前ぇに 面と向かって言わなかったがよ、お前ぇのことは ずっと憎からず思ってたんだからよぉ。」
 てなことを言ってやりゃぁ、後はしっぽり腕の中・・・・ぐへへへへ・・・・・

 この後の展開を考えると どうしても顔がにやけてしまいそうになるが なんとかどうにか引き締めて 笑いをぐっと飲み込んで 少々照れながら剣心へと問いかけた。
「あの、その・・なんだがよ・・・あっ、いや、別にたいしたこっちゃねぇけどよぉ。その・・・どんな夢を見てたんだ?」
「えっ?」
 剣心が一瞬言葉に詰まり、絶句する。
 そして、みるみるうちに頬が赤らんだ。

 うひひ・・・可愛いじゃねぇか。
 まっ赤になっていやがる。
 そりゃ、まぁ、あんな大胆な夢を見たんじゃ 照れるのも無理はねぇけどな。
 でも、男なんだからそれぐらいの夢を見たって どうってこたぁねぇって。俺なんか、お前を思ってしょっちゅう・・・・
 う、あっ、ゴホン。
 まぁ、俺のことはさておいて。
 さて、どうやって このおぼこの口を割らせるかだな・・・・

「あっ、いや、その。何かうなされてたような・・・悪い夢でも見たんじゃねぇかって、ちょっと心配したもんだからよ。」
「うなされて、いたでござるか? どうりで・・・」
「どうりでって?」
「あっ、いや、何でもござらん。」
「何でもござらんって、気になるじゃねぇか。その・・・俺の名前とかも呼んでたしな。」
「えっ? うなされるばかりでなく、寝言まで言っていたのでござるか?」
「あ、ああ。あっ、全部聞いたわけじゃねぇぜ。寝言だからな。その、ハッキリと聞き取れた訳じゃねぇけど・・・」
 と、左之助も曖昧に濁してやりながら だんだんと外堀を埋めてゆく。
 気づかない振りをしつつ、それとなく話を臭わせて 鷹揚に構えてやるのが 大人というものだ。
 余裕を見せつつ、剣心の返答を待った。
「参ったでござるなぁ・・・・」
 剣心は俯き加減に 頭をポリポリと掻いて 弱り切った表情を見せた。
「そう照れるもんじゃねぇって。嬢ちゃんに聞かれちまったってんなら そりゃちょっとは恥ずかしいかもしんねぇけどよ。男同士じゃねぇか。俺だったら 何を聞いても驚かねぇぜ?」
 大人の余裕綽々で 胸の内で大きく両腕を広げて 恥じらう剣心を包み込んだ気分だ。
 愛の告白なら いつでもやってくれ。俺の方は とっくに準備が出来てるからな。
 そんな気持ちで ニヤニヤ笑いながら 剣心の口元を見守った。
 頭を掻いていた剣心は 左之助に向き直ると 少々肩を落とし気味にしながら こう言った。
「左之。その、すまぬが・・・寝言で言ったことは忘れてくれぬか?」

 なにーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぃ!!
 忘れろ!!?
 忘れろったって忘れられるもんじゃねぇ!
 冗談じゃねぇ!!
 忘れてどうしろってんだ! こんなオイシいもんを、よっ!
 俺ぁ、俺ぁ、今日という日をどれだけ待ちに待ってたか・・・
 この期に及んで 恥ずかしいから忘れろなんて 照れるにも程があるぜ。
 んなこっちゃ、話が一向に進まねぇじゃねぇか。
 俺の計画は、春はどうなっちまう!
 ようし、こうなりゃ絶対に吐かせてやるぜ。

 先ほどまでの余裕は吹き飛び、 一計を案じて左之助は 真剣に剣心へと向き直った。
「あんだぁ? 水臭せぇじゃねぇか。なんか思い煩ってることがあんだろ? こう言っちゃ何だが、お前ぇはいつも独りで 思い悩むところがあるからな。そんなお前ぇを見てて 俺はいつもお前の力になりてぇ、なってやりてぇってこう思ってんだぜ? それとも何だぁ? 俺にまで言えねぇような 大それた秘密でも有るってぇのか?」
 その左之助の言葉は 剣心の顔に動揺を走らせた。

 いいぞ。もう一押しだ。
 ここまで言われりゃ、隠し通せるもんじゃねぇ。
 いや、隠す必要はこれっぽっちもねぇんだぜ。俺だって同じ気持ちなんだからよ。
 まずはそれを わからせてやった方がいいのかもしれねぇな。

「相通ずるってぇのか? お前の好きなことは俺も好きだし、お前のやりてぇことは 不思議と俺もやりてぇ。俺達ゃぁ、気持ちが通じ合ってんだと、俺は てっきりお前も同じ気持ちだとばかり、そう思っていたんだがな・・・・」
「左之。それはそうでござる。拙者もお主に 隠し事などしたくはない。だけど・・・」
「だけど、なんでぃ?」
 左之助は 執拗に食い下がる。
 追いつめられた剣心は 切羽詰まった表情で 苦しげに返答した。
「これを言えば、お主はきっと・・・拙者を軽蔑するに違いない。お主とは何故か気が合い、温めてきた友情だ。それをみすみす壊すことになるかもしれぬ・・・そう思うと とてもではないが・・・」
「オイっ! 剣心!! 見損なうんじゃねぇや! いったいぜんたい、お前が何の隠し事をしてるか知らねぇが、昨日や今日出逢った仲じゃあるまいし、お前が何を言い出そうと おいそれと壊れるほどの友情は 築いちゃいねぇ積もりだぜ。俺ぁ、お前にだったらこの命まで 呉れてやってもいいとそこまで思ってんだぜ?」
「左之! そんなにまで拙者のことを・・・」
「ああ。」
 左之助は どんと胸を叩いた。
「だから、何も心配することはねぇんだぜ。何でもこの左之助様に言ってみろって。」
「ありがとうでござるよ、左之。左之がそこまで思ってくれているとは露知らず・・・拙者はとんでもないことを・・・」
「いいって、いいって。気にするねぇ。夢を見ることなんざぁ 誰にでも有らぁ。だから、気楽に話してみろって。」
「そうか、じゃぁ・・・・しかし、左之、絶対に怒らないと 約束をしてくれぬか?」
「ああ。怒らねぇ、怒らねぇ。」

 なんで、俺が怒らなきゃなんねぇ!
 コイツはどうも そういうところは お堅く考えていやがんだよな。
 まっ、そこがまた 可愛いところでもあるんだがな。
 だけど、うひひ・・・どうやらやっと告白する気になったようだぜ。

 左之助はいたく上機嫌になり、剣心の告白を今か今かと期待を寄せて その口元に注目した。


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